謎に満ちた北斎の娘:葛飾応為(かつしかおうい)の作品集の世界

葛飾応為自作「女子教育の宝庫 第1巻」、1847年、須原屋から出版。パブリックドメイン

江戸時代後期に活躍した浮世絵師、葛飾応為。葛飾北斎の娘として生まれながら、彼女自身もまた、独自の感性と技術で浮世絵界にその名を刻みました。

応為の作品は、美しい女性や風情ある風景を繊細かつ力強い筆致で描き出し、見る者を魅了し続けています。

しかし、彼女の人生や作品だけではなく、彼女を題材にした現代の作品にも注目が集まっています。

映画、ドラマ、本、漫画といった様々なメディアを通じて再解釈され、新たなファンを生み出しているのです。

本記事では、葛飾応為という一人の女性浮世絵師の生涯を描いた、様々な「葛飾応為を描いた作品集」を紹介します。

彼女の生涯に触れ、彼女の作品にインスピレーションを受けた現代のクリエイターたちの作品を通して、応為の世界を再発見する旅に出ましょう。

葛飾応為(かつしかおうい)作品集の魅力を解説

葛飾応為とは

葛飾応為(生没年不詳)は、江戸時代後期に活躍した女性浮世絵師で、葛飾北斎の三女としても知られています。

彼女の本名は栄(えい)であり、様々な表記方法がありますが、最も一般的に使用された名前はお栄(おえい)です。

また、阿栄、應栄、栄女(えいじょ)などとも記されており、これらの名前は彼女の作品や文献によって異なります。

応為(おうい)という名前は、彼女自身の画号(芸術家が作品に署名する際に用いる独自の名前)です。

家族構成

葛飾応為は、浮世絵師である葛飾北斎の三女。

  • 父:葛飾北斎
  • 母:後妻(名前は不明)
  • 兄弟:北斎と後妻の間には、一男一女(応為はその中の一人で、北斎にとっては3人目の娘とされる)
  • 異母兄姉:北斎の先妻との間に一男二女とされる
  • 応為は3代目堤等琳の門人である絵師の南沢等明に嫁ぎましたが、後に離縁

※これらの情報は限られた資料に基づくため、異なる文献での記述により、詳細については多くが明らかではありません。生涯や家族構成には諸説があります。

葛飾応為作品集(代表作)

葛飾応為の作品は非常に少なく、現存するものは十数点とされています

吉原格子先之図 よしわらこうしさきのず(東京都渋谷区神宮前 太田記念美術館)

この作品は、江戸の遊廓である吉原の夜をドラマチックに描き出した名品で、西洋画のような陰影を駆使した描写が特徴です。

客たちが手に持つ提灯や妓楼の室内の明かりなど、いくつもの光源が画面内に描かれ、光に照らされた人々の姿が、闇の中で幻想的に浮かび上がります

この作品は、1818年(文化15年)頃から1844年(弘化元年)の間に描かれたとされています

紙本著色

Yoshiwara Koushizaki no Zu” by Katsushika Oui, Edo period, in the Ota Memorial Museum of Art. Public domain

関羽割臂図 かんうかっぴず (アメリカオハイオ州 クリーブランド美術館)

この作品は、中国の歴史上の英雄である関羽(かんう)が、自らの腕に刺さった毒矢を取り除くために、自分の腕を開いて毒を取り除く様子を描いたものです。

関羽は三国志の時代に活躍した武将で、勇猛果敢ながらも義理堅い性格で知られています。

この絵は、その勇気と忍耐の精神を象徴するエピソードを描いており、葛飾応為の技術と表現力が光る作品とされています。この作品は現在知られる応為落款の作品中で最も大きい作品です

制作年代については明確な記録はありませんが、一部の資料では弘化2年から3年(1855年 – 1856年)頃とされています。

絹本著色

Guan Yu Undergoing Arm Surgery” by Katsushika Oui, 1840, silk painting, Cleveland Museum of Art. Public domain.

月下砧打美人図 げっかきぬたうちびじんず (東京台東区上野 東京国立博物館)

女性が夜の月明かりの下で衣服をたたく姿を描いた作品です。

この作品は、日々の生活の一場面を静かで詩的にそして、美しさで捉えており、特に女性の内面の豊かさや、自然との調和を表現している点が特徴です。

弘化年間(1844年~1849年)に制作されたとされています。

紙本著色

Kinuta (Part) by Katsushika Oui, Ukiyo-e, 1850, color on paper, Tokyo National Museum. Public domain

夜桜美人図 よざくらびじんず (愛知県小牧市 メナード美術館)

この作品は、満天の星空の下で若い女性が短冊と筆を持ち、灯篭の灯りを頼りに何かをしたためようとする光景を描いています

1840年から1850年ころ (江戸時代後期)

絹本著色

Beauty Reading Poetry Under Night Cherry Blossoms” by Katsushika Oui, silk painting, Menard Art Museum. Public domai

三曲合奏図 さんきょくがっそうず (アメリカマサチューセッツ州 ボストン美術館)

この作品は、地歌三味線(じうたしゃみせん)、箏(こと)、胡弓(こきゅう)の三種の楽器による合奏編成、及びそれにより演奏される音楽を描いています。

この作品では、左側の三味線を持った女性は、三味線の糸巻きに手を当てており、胡弓を構えた花魁は立ち姿のまま三味線の女性に視線を向けていることから、各楽器の音の高さを調える「調弦」の様子が描かれていると思われます

この作品の年代については、一部の資料では北斎が応為を伴って滞在していた弘化から嘉永年間(1844年~1856年)に掛けた時期と推定されています

絹本著色

Three Women Playing Musical Instruments” by Katsushika Oui, 1850, silk painting. Public domain. Available at MFA Collection

葛飾応為を描いた作品集

おすすめアニメ映画

映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』シネマトゥデイ

おすすめテレビドラマ

眩(くらら)~北斎の娘~ NHKエンタープライズ ファミリー倶楽部
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おすすめ本

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葛飾応為作品集のまとめ

  1. 葛飾応為は江戸時代後期の浮世絵師で、葛飾北斎の三女である。
  2. 応為の作品は美人画に優れ、独自の感性と技術を持つ。
  3. 現存する作品は少なく、そのほとんどが私的なコレクションや美術館に所蔵されている。
  4. 作品の特徴は、繊細な線描きと鮮やかな色使いにある。
  5. 彼女の作品は、北斎の影響を受けつつも独立した芸術性を示す。
  6. 「月下砧打美人図」や「吉原格子先之図」など、代表作が知られている。
  7. 応為を題材にした映画やドラマ、本、漫画も存在し、彼女への関心が高まっている。
  8. 葛飾応為の作品は、江戸時代の女性の生活や文化を垣間見ることができる。
  9. 彼女の作品は、美術史における女性浮世絵師の地位を再評価するきっかけとなっている。
  10. 応為の作品を通じて、江戸時代の美術や文化に対する新たな理解が深まる。
  11. 研究が進むにつれて、応為についての新しい発見が期待されている。
  12. 葛飾応為作品集を検索することで、浮世絵への理解を深めることができる。
daizu

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