正倉院 - zたぬき, Panoramio, CC BY 3.0
正倉院(しょうそういん)、その名を聞くだけで歴史の深さと文化的価値を感じさせる日本の宝庫。
奈良時代の息吹を今に伝えるこの貴重な施設は、毎年秋になると特別公開が行われ、世界中から多くの訪問者がその壮大な歴史と美術品に触れる機会を得ます。
しかし、正倉院とは具体的にどのような場所なのでしょうか?その建立の背景は?
何がそんなに特別なのでしょうか?正倉院の神秘に包まれた歴史と文化遺産の全貌に迫り、その魅力を存分にお伝えします。
正倉院(しょうそういん)は奈良市の東大寺境内にある、校倉造り(あぜくらづくり)の大型倉庫です。
聖武天皇・光明皇后(しょうむてんのう・こうみょうこうごう)ゆかりの品々をはじめとする、奈良時代に栄えた天平文化(てんひょうぶんか)を中心とした多数の美術工芸品を収蔵しています
正倉院の建立時期は明確ではありませんが、一般的には 奈良時代756年(天平勝宝8年)前後 とされています。
正倉院は、奈良県奈良市雑司町129にあります。
正倉院は、聖武天皇の妃であった光明皇后によって756年頃に設立されました。
これは、聖武天皇が亡くなった後、彼の遺品や関連する宝物を収蔵するための施設としての役割を果たすためでした。また、光明皇后は聖武天皇の遺愛の品を大仏に奉納する目的も兼ねていました
正倉院は、宝物を湿気から守るために、断面が三角形の横材を井桁(いげた)に積み上げた校倉造という木造建築様式で作られています。
校倉造は、古代から近世にかけての日本の伝統的な倉庫の建築様式で、柱と梁(はり)を組み合わせて壁を作る特徴があります。
また、正倉院の建築には釘が使われておらず、これは日本の伝統的な木造建築の特徴で、木材同士を組み合わせて建物を作る技術が発達していたためです。
釘を使わないことで、地震の際の揺れを吸収し、建物の耐震性を高める効果があります。
さらに、修理や改築が容易となり、長期間にわたって建物を維持することが可能となります。
西暦 | 事項 | 時代 |
---|---|---|
756年 | 光明皇后が聖武天皇の遺愛品を東大寺に献納。この頃正倉が建設される | 奈良 |
971年 | 正倉の修理を行う | 平安 |
1031年 | 強風の被害を受けた勅封倉の修理を行う | 平安 |
1039年 | 盗賊による勅封倉の焼き討ちと宝物の窃盗 | 平安 |
1057年 | 南倉を11日間かけて修理する | 平安 |
1079年 | 北倉の北西角破損を修理する | 平安 |
1100年 | 勅封倉の修理 | 平安 |
1130年 | 勅封倉に湿損の疑いがあるため,法会で東大寺を訪れた右中弁らと東大寺別当が点検を行う | 平安 |
1189年 | 東大寺の要請により,激しい湿損があるとされる勅封倉の点検を行うため,造東大寺司長官らが下向する | 平安 |
1193年 | 北倉・中倉の修理 | 鎌倉 |
1230年 | 北倉・南倉の修理 | 鎌倉 |
1243年 | 勅封倉の修理 | 鎌倉 |
1254年 | 北倉東面北端に落雷。これにより破損した扉・柱六本などを,交換・修理する | 鎌倉 |
1602年 | 徳川家康の命により,正倉修理事前調査を行う | 江戸 |
1603年 | 徳川家康の命により,正倉の修理を行う | 江戸 |
1663年 | 幕府,正倉の修理を命じる | 江戸 |
1666年 | 幕府の命を受け,中倉の小破を修理す | 江戸 |
1690年 | 正倉の破損検分書作成 | 江戸 |
1693年 | 正倉の修理 | 江戸 |
1831年 | 東大寺,奈良奉行所に正倉院屋根葺替修理の口上書を提出 | 江戸 |
1835年 | 正倉の本体工事と屋根葺替修理 | 江戸 |
1875年 | 正倉及び宝物の政府管理開始 | 明治 |
1877年 | 正倉の修理 | 明治 |
1880年 | 伊藤博文の建議により,正倉内にガラス扉付の陳列棚を設ける | 明治 |
1913年 | 正倉の全面解体修理 | 大正 |
1972年 | 正倉院宝物の材質や技法、構造の忠実な再現に重点をおいた模造製作が始まる | 昭和 |
1997年 | 天平文化を中心とした多数の美術工芸品を収蔵していた建物、国宝に指定 | 平成 |
1998年 | 「古都奈良の文化財」の一部としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された | 平成 |
2011年 | 正倉の屋根葺替修理及び小屋組の補強を行 | 平成 |
2018年 | 正倉院の修理開始 | 令和 |
2023年 | 正倉院の修理完了 | 令和 |
正倉院展は、正倉院が所蔵する宝物を一般に公開する展覧会で、毎年秋に開催されます。
正倉院宝庫は毎年秋に勅封が解かれ、宝物の点検が行われます。
その時期に合わせて、宝物を一般に公開する正倉院展が開催されます。
出陳宝物の選定は、宝物の全体像が分かるように配慮しつつ、最新の研究成果が得られた品や話題性のある品が選ばれています。
正倉院展は昭和二十一年(一九四六)に第一回が奈良帝室博物館で開催され、その後東京で行われた三回(昭和二十四年、三十四年、五十六年)を除き、毎年、奈良で開催されています。
正倉院展の公式ホームページでは、正倉院展の見どころや宝物の魅力、展覧会の開催概要、チケット情報、展示の見どころ、出陳宝物、アクセス情報、過去の展覧会の概要などを紹介しています。
また、奈良国立博物館で開催される正倉院展では、およそ9000件にも上る正倉院宝物の中から毎年60件前後が公開されます。
これらの宝物を通して、奈良時代の貴人たちの異国情緒あふれる華やかな暮らしぶりが垣間見られます。
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